本日、学校法人尚志学園 尚志高等学校 創立五十周年記念式典の開催に当たり、復興大臣・衆議院議員・尚志学園顧問根本匠様、福島県知事代理、福島県総務部 部長鈴木正晃様、郡山市長 品川萬里様、福島県私立中学高等学校協会 会長 森 涼様、国会議員、県議会議員、市議会議員の先生方を始め、多くのご来賓の方々のご臨席を賜りましたこと、心より御礼を申し上げます。

 

本校は昭和39年、東京オリンピックが開催された年に日本で最初で唯一の女子工業高等学校として開校いたしました。創立者である故佐藤 信学園長は、当時工業立国を目指し躍進していた日本において、科学技術に強い女性技術者の育成が時代の要請であるとの考えの下、女子工業高等学校設立の構想について、日本経済新聞社、毎日新聞社、更に全国の中学校長にアンケートを送り、意見を伺ったところ圧倒的支持が得られ、設立を決意したものであります。

学校建設に至っては、資金があって始めた事業ではなく、ただひたすら本人の情熱で進められ、学校設置の認可から、土地を譲って下さった地主の方々、校舎建設を破格の条件と突貫工事で完成させてくださった建設会社の方々など、女子工業高校の開設にご理解を頂き、特段のご厚情と犠牲的精神でご協力いただいた方々の計らいがあったからこその開校であります。その後五十年を経て現在この地で、高校教育を行っていることに対し、当時ご配慮くださった方々に、教職員として改めて感謝を申し上げる次第であります。

 

第一回入学式は講堂ができていなかった為、青空の下で入学生143名を迎えて行われ、学校法人尚志学園 女子工業高等学校の教育が開始されました。教育内容は、時代を反映し女性の適性を生かした教科、科目を行い、昭和40年にはレミントンユニバック社の電子計算機、ユニバック120を導入し、キーパンチャーやプログラマーの養成を行い、その伝統は、現在の情報総合科に引き継がれております。
その後、時代の変遷による産業構造の変化に伴い、工業教育の他に普通科を設置し、進学指導も行って、国立大学合格者をも輩出するようになりました。平成二年には男子生徒を受け入れ、学校名を尚志高等学校に校名変更し、更に昭和42年当時に行なっていた通信教育部を平成11年に尚志高等学校単位制・通信制課程として郡山市と福島市に開校いたしました。

現在、尚志高等学校全日制の在校生は1380名で、男女ほぼ同数となっております。卒業生数は、19,800名を超え来年度は2万名を超える予定であります。また単位制・通信制課程は在校生約600名で、卒業生は2,600名を超えております。このように尚志高等学校が今日までになったことは、それぞれの時期において、教鞭を執り、学校運営を行なってきた教職員が、真に学校の事を思い生徒の事を思って努力をしてきた証であり、厚く敬意を表するものであります。

 

学園の発展について、創立者、佐藤 信学園長は、以前、「あたかも一杯のさかずきの水が源となり、小川、支流を集めて滔々たる大河となって流れるの観があり、」と申しておりました。

 

本校教育の根幹は、「建学の精神」の「尚志必成」「即是道場」「一瞬即永遠」の三つの言葉であり、「建学の精神」を基とした「人づくり教育」であります。学問による真理の探究は勿論でありますが、それと同時に人格を磨き、心身ともに健全な人間としても成長しなければなりません。生徒達は毎朝、国旗掲揚と共に誓いの言葉を唱和して一日の取り組みの気持ちを確認し、日々「建学の精神」を体現する努力を続けてきております。学業に部活動にと力を注ぎ、レベルの高い文武両道を目指し、学業においては、毎年国立大学を始めとする四年制大学に二百数十名が合格をしております。就職においても四十数名全員が合格し、その他各種学校へと、皆希望の進路を達成して巣立っております。

 

部活動についても、一昨年の第90回全国高等学校サッカー選手権大会において、準決勝まで勝ち進み、憧れの国立競技場での試合に全校応援をバス27台を連ねて行ったことは、本校始まって以来のことであり、本校に輝かしい歴史を刻んでくれたことでありました。その結果、全国第3位の栄誉に輝いたことで尚志高校の名が日本国中に知れ渡り、日本の有名校の一端を担う学校となったのは嬉しい限りであります。その名に恥じぬよう、名実ともに有名校となれるよう学業、部活動共に励んでいくことが使命であると思っております。

 

尚志高校は女子工業高校の時代から他とは違った先進性のある考えで進めてまいりましたが、此の度の東日本大震災で被害を被ったことについても、復旧、復興は復元ではなく、未来に向って希望の持てる内容とする事を念頭に、壊れた校舎を解体して建築した新校舎には生徒ホールや、自習室、階段式視聴覚教室などを備え、生徒達がより快適に学校生活が出来、学習の能率が上がるように工夫をしてあります。グラウンドの放射線の問題に付きましても、土の入れ替えと同時に人工芝グラウンドにし、安心安全な体育の授業、部活動が行えるように致しました。

 

また就学旅行は、開校初期に、一般的には関西旅行が主流であった時代に九州一周旅行を実施し、生徒に大きな感動を与え、その後の生徒に大きな成長が見られたものでありました。現在は日本のグローバル化による英語教育の必要性を考慮し、アメリカへの就学旅行を実施して、日本はもとより、世界で活躍する人材の育成を目指しております。

 

このようにして行なってきた本校の進め方や、校風は「人づくり教育」の一環として、具現化したものであります。この校風を大切にし、これからも社会有為な人材を育成してまいる所存であります。

 

創立50周年に当たり、改めて原点を見つめ、教職員一同、本校の基本的精神を心に刻んで、これからの更なる五十年に向け邁進して参る所存でおります。

 

結びに、今日まで、学校にご支援、ご協力を賜り、支えて下さった方々、各会社様に厚く御礼を申しあげると共に、これからも一期一会を大切にし、信頼関係を大切にして進めて参りたいと思っております。此の度、創立五十周年記念式典を多くの方々のご協力の下、挙行できましたことに厚く感謝を申し上げ、皆様方のご活躍とご多幸を祈念いたしまして、式辞と致します。

 

平成26年 6月14日
学校法人 尚志学園 
尚志高等学校 校長 倉又晴男